源さんが行く134
どうも、しょうさんの息子のゲンです。
原始謾筆風土年表(げんしまんぴつふどねんぴょう)とは
江戸時代の下北地域の政治・経済・文化を、近江出身で大畑にて商業に従事した村林家の二代目源助(通称)によってまとめられた記録です。
源さんの記録、寛政十二年6になります。
寛政十二年(1800)の記録・其の六
八木沢の田崎安兵衛が拝借金を得て五十人を雇い入れ、クナシリ島で自分のマス漁を始めた。
しかしこの男、ろくに読み書きも計算も出来ないのに、何とも度胸がいい。
それで様似にいた小笠原六兵衛を雇い入れ、釣りの漁法や昆布採りのコツを習ったという。
今年の田名部代官は小菅十左衛門と富田柵野右衛門。
大畑の郷保、里正は前年に同じ。
四月一日、九割かたの日食となる。
喜田川家の表二階の格子(こうし)状の雨覆いにカラスが巣を作った。
なんとまあ、無謀な事よ。
「カラスの巣が高い所にあると、風は吹かず、下の方だと強風が吹く」と言われている。
逆に「トンビの巣が高い所にあると風が吹き、低い所なら風は吹かない」とされる。
蜂の巣は良くできたもので、自然に紛れて見つけにくく出来ている。
ミソサザイ*1とツバメは、巣作りのうまさでは甲乙つけがたい。
天智天皇の御代、木の丸(まろ)殿と呼ばれ、筑前朝倉郡(ごおり)にあった斉明天皇の行宮*2の馬のしっぽにネズミが巣をつくった。
朱雀天皇の御代には、怪鳥ヌエの類が皇居の樹木に巣を作り、十二世紀の平清盛公の馬にもネズミが巣を作った話が伝えられる。
もっと古くは応神天皇の御代、皇居の桐の木に雄雌ひとつがいの幻の鳥の鸞(らん)が巣作りをしたとあり、天智天皇の時代には皇居に亀甲文字の亀が、白凰時代には五茎の穂や、葛城山では幻の動物麒麟の角が見つかったとされる。
これらはおそらく時の帝の威徳を表さんがための創作であろう。
へつづく
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