源さんが行く111
どうも、しょうさんの息子のゲンです。
原始謾筆風土年表(げんしまんぴつふどねんぴょう)とは
江戸時代の下北地域の政治・経済・文化を、近江出身で大畑にて商業に従事した村林家の二代目源助(通称)によってまとめられた記録です。
今回からは第八集に入りまして、前回の記録・幕府による東蝦夷地直轄支配が、源さんがいます大畑にどんな影響があったかを詳しく紹介してまいります。
寛政十一年の春から秋までの記録となります。(源さん52歳・宿老)
寛政十一年(1799)の記録・其の壱
江戸からたくさんの幕府役人がやって来て大畑から蝦夷地に渡ることになったという。
しかし、津軽海峡には東の方向に流れる複雑な三筋の潮の流れがあり、廻船航路の本筋からも外れている。
漁師やこの海を生業とする者たちなら、この複雑な潮の流れへも命がけで身を投じていくが、都暮らしの身分のある方々には容易くない潮筋である。
江戸からの行程の半分は南部藩通過であるが、宿駅が十分ではなく、苦労も多いことであろうし、人馬の手配なども行き届くとは思えない。
しかし、「蝦夷地の開発には必要なことなので、入用な物品の有無、職人の手配など一丸となって取り組むべし」との代官所の命で田名部に出向いたが、樺山(かばやま)の辺りで深い雪の一本道を百匹ほどの牛の後ろになり、のろのろの徐行。
いかんともなす術なく、退屈な、もったいない時間を過ごすことになってしまった。
へつづく
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