源さんが行く88
どうも、しょうさんの息子のゲンです。
原始謾筆風土年表(げんしまんぴつふどねんぴょう)とは
江戸時代の下北地域の政治・経済・文化を、近江出身で大畑にて商業に従事した村林家の二代目源助(通称)によってまとめられた記録です。
寛政九年(後半)の記録から始まります。
寛政九年(1797)後半の記録・其の壱
■鯤*1や鵬*2など想像上の大魚や大鳥のことは、すでに荘周*3が詳しく解説し、王圻*4がこれを絵に描いている。
もちろん想像上の生き物だから、事実をふまえて描いてはおらず、大いに笑える。
天空を揺るがす稲光は陰にも陽にもなるというが、理学神道*5の説明である。
七月十九日夕方、大雨が降り、稲光し、雷鳴がとどろき渡った。
鍵なりになった稲妻は雷神の絵などにも描かれるが、実際にはありえないと、私は思っていた。
ところが、本当に鍵なりに稲妻が走り、手で顔を塞ぎ、こわごわ見上げたものの、それは実に奇異な光景であった。
鳳凰*6は、賢明なる帝の御代(みよ)、化身となって周辺の野蛮民族をも従わせる徳を表しているとか。
ヨーロッパには現に実在する牙むき出し、もろに怒りの表情の唐獅子(ライオン)の絵は、平賀源内*7の「物類品隲」(ぶつるいひんしつ)に描かれる。唇が大きく、鼻を覆う鋭い形をしていて、目も耳も胴体も昔から描かれる獅子とは違って精悍そのものである。
祭の船山車(ふなやま)明神丸の前額は江戸の書家・佐久間甚八の書である
佐久間甚八(1727~96)
江戸でも有名な書家。元々は武士。幕臣。勘定組頭を経て勘定吟味役になった人です。
著作に「天寿随筆」がある徂徠学派の一人。
へつづく
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