こめいがねんど

むつ市大畑町と東津軽郡蓬田村から青森県の歴史や記録を紹介する歴史探求ブログ

源さんが行く95

 

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どうも、しょうさんの息子のゲンです。

 

 原始謾筆風土年表(げんしまんぴつふどねんぴょう)とは

  江戸時代の下北地域の政治・経済・文化を、近江出身で大畑にて商業に従事した村林家の二代目源助(通称)によってまとめられた記録です。

 

寛政十年の記録4です。

 

寛政十年(1798)の記録・其の四

有髪僧の文中と称す者が来た。

糊匠*1である。

地金に孔雀や芭蕉の絵柄は、画家の沈南頻*2の如く。付金に牡丹や蝶は、狩野永徳(かのうえいとく)、掾金(よりがね)に墨絵は、雪舟の如く。これらの三つの屏風はいずれも絶品。

小松雪童の江上吟を書いた屏風は完ぺきとは言えないが、独特の生き生き感が感じられた。

 

■江戸の品川にクジラが漂着、黒山の見物人が出た。

 

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和田山ケヤキを見積もるため向井伊左衛門が向かった。

葉の広がりが六尺余りという蕗(ふき)を分け入って、南祖の坊*3が垢離行(こりぎょう)を行った滝や湖水の修行場も見たらしい。

そこに泊まり、谷地の埋もれ木を予測しようと切出の坊が切り開いた危峯*4の山へも登った。頂上はごつごつした大岩で大山石尊の尾崎明神よりも大変である。

幽渓の天は「陽」、智拳印*5金剛界の「陰」。法界定の印相は胎蔵界、と向井は語っていた。

大隅霧島山、大和の天の川*6を模しているのであろうか。

  

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へつづく

 

 

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*1:源さんはキャウジヤとルビ。経師屋=表具師

*2:しんなんぴん=清代の画家。1731年に来日して日本の花鳥画に大きな影響を与えた

*3:三戸郡南部町出身、十和田湖の守り神

*4:きほう=高く険しい峯

*5:ちけんいん=大日如来の印契

*6:奈良県中部を西流、大峰山脈の西斜面