こめいがねんど

むつ市大畑町と東津軽郡蓬田村から青森県の歴史や記録を紹介する歴史探求ブログ

源さんが行く35

 

f:id:komeikanendo:20190913232457j:plain

どうも、しょうさんの息子のゲンです。

 

 原始謾筆風土年表(げんしまんぴつふどねんぴょう)とは

  江戸時代の下北地域の政治・経済・文化を、近江出身で大畑にて商業に従事した村林家の二代目源助(通称)によってまとめられた記録です。

 

クナシリ・メナシの戦いに関する

佐藤ミドリ先生の意訳・原始謾筆風土年表の資料編その3です。

 

資料編3・菅江真澄・御ぶちの牧

ある夜の円居*1北村伝七という者、

過ぎし頃(九年前)、クナシリのエミシ(アイヌ)ら、

あらぬ筋に怒り、ののしりたる。

その島をはじめ、根室にわたりて、七十人余りの人を毒気の矢、鉾(ほこ)して殺したるに、

我のみはエミシとし頃(日頃)恵まれたるむくい思うにや。

命まったくせよ*2とて舟してはるばると送りたり。

又としは、五十路(五十代)に近きまで、しぐま(熊)にも三度かけられて(襲われて)、

身はいくばくも(何度も)破られ谷底に夜をあかし、

舟にありては楫(かじ)折れ、舟くだけて、破れたるささやかの(小さな)板に乗りて、

潮(しお)にいざなわれて、三、四日海に漂い、いろくず(魚)に足、手、食われて、からき(やっとのこと)命助かれば、

世の中、これに類(たぐふ)恐ろしき目はあらじかし。

これや、神仏の助け給ふならんとて、去りぬ。

この人に代わりて、

 

逃れこし

蝦夷の海山

あさからぬ

神の恵みぞ

身に知られぬる

 

菅江真澄が詠んだ和歌)

 

 寛政十年五月十六日

f:id:komeikanendo:20191028011355j:plain

 

源さんが行く36 - こめいがねんど

 へつづく

 

 

最初から読み直したい方は

源さんが行く01 - こめいがねんど

 

第二集の最初から読みたい方は

源さんが行く14 - こめいがねんど

 

*1:まどい=みんなで語り合う場

*2:生き延びよ