こめいがねんど

むつ市大畑町と東津軽郡蓬田村の歴史や文化、たまに趣味のねんど作品を紹介する雑記ブログ

源さんが行く161

  

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お世話になっております、シヨウX3です。

 

 原始謾筆風土年表(げんしまんぴつふどねんぴょう)とは

  江戸時代の下北地域の政治・経済・文化を、近江出身で大畑にて商業に従事した村林家の二代目源助(通称)によってまとめられた記録です。

 

源さんの記録・享和二年の後半の二回目です。

 

享和二年(1802)の記録・後半の弐

宝暦七年(1757)のことである。

心光寺の羚羊角*1本門寺の山蜘蛛*2に化ける狸がいた。

この二人が月想山心光寺において談笑中、総本山である紀州由良(ゆら)の興国寺の廻僧がやって来ると耳にし、脅かしてやろうと大蜘蛛に化けて待ちうけていた。

足の長さ、節から六寸*3、節から五寸、節から四寸、節から三寸と大きな蜘蛛である。

興国寺の僧が大声で「一夜の宿を頼もう」とやって来た。

僧は蜘蛛の姿に驚き腰をぬかしながら逃げる途中、尺八を持った新川八兵衛にぶつかり助け起こされた。

新川は鉄砲を持って大蜘蛛に化けた狸に立ち向かった。

こんなわけで早々に騒ぎは収まった。

新川八兵衛が瞬時に判断できたのは、孔子も郷党の編で

~五品位の菩薩も故郷に戻り…。~

豊臣秀吉は生まれ故郷の尾張中村で一人の老人にお逢いし、これらのエピソードを胸におさめて、生兵法*4による大疵*5が癒されたのだという。

そして琢磨し功を遂げたその時に故郷に帰ろうと決心した。

知人もいない上総(かずさ)に来て、金森の浪士に賓蔵院流の鎗(やり)を習う。

思い入れの強過ぎその威力に震えながらも数か月の修業をする。

その後、金森浪士で正法念流の武術の使い手として下総(しもうさ)中にその名が響き渡る人間がやって来るとのうわさを聞く。

その昔から摩利支天*6は草木も眠る丑三つ時(真夜中)にものを言うと伝えられるが、

「木にも草にも油断するな」との声。

摩利支天のその声を聞いた人間は大友宗麟*7以来である。

天を仰いで地にひれ伏して、五更もまたぎ(夜も明けぬうちに)、深い谷を飛び越え故郷を出て四年目に戻ったという。

京都にいた頃の秀吉は、稽古と称して自ら露地の水石(庭園)を築いていた。

先ずは大徳寺の庭園、次には天竜寺の庭園と真似、こちらは金閣、あちらは銀閣寺と…、おのが樹木一年経ずに七度も植え替え、草木は大方枯れてしまったという。

動かぬものではあるが生き物である。

心有るべき庭造りもここまでしては、非情の費(ついえ)としか言いようがない。

一度死にかかったものを無情とせず甦らせた例がある。

義光山賓國寺の向かい左の家屋敷は、宝暦(1751~64)の初めから寛政(1789~1801)の初めまでは四十年間、徳右衛門から豊右衛門に変わり、正津川屋から善兵衛と変わったが、この人、生まれは秋田と聞いているが鋳掛*8を商売として諸国を渡り歩いていたらしい。

ここに仮住まい仕立てた時、癪*9の病に苦しみ、田中左臼の按摩治療で助かった。

それからはこの屋敷の主におさまり、無性の家が古びてつぶれかかっていたが、有情の手によって補修された。しかし、二、三年経つとこの地も飽きて、またもや他の地に移り住もうかと思っていたところ、すでに隠居生活に入っていた賓國寺の十世に諭された。

「晴れた日には晴れのチヤシ(コールタール)を塗り、雨降りには雨降り用のチヤシを塗って家を修理するがよい。比叡山延暦寺の西塔で修業していた武蔵坊弁慶は斉藤別当の娘婿となり、蝸牛の家(狭い家)もそのうちに綿蛮たる黄鳥(ウグイスの鳴く)丘阿(岡)となった」と。

こうして鋳掛屋の善兵衛は今年からこの大畑の良き一住民と数えられるようになった。

 

無性(むしょう)仏語、無仏性、仏となる素質のないもの

有情(うじょう)仏語、生きとし生けるもの、衆生(しゅじょう)

有性(うしょう)仏語、有仏性、仏となる素質のあるもの

無情(むじょう)こころのないもの、木や石などにいう。非情

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つづく

 

 

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*1:九世紀の音柳和尚か

*2:六世の日清和尚か

*3:二十㌢弱

*4:なまびょうほう=少しばかりの兵法を知ってはいるが、未熟なこと

*5:おおきず=大失敗すること

*6:まりしてん=武士の守り神

*7:そうりん、1530~87

*8:いかけ=鍋釡の修理屋

*9:しゃく=胸部、腹部におこる激痛